敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 突然の宣言に驚き、反射的にハウイットさんを見仰いだ。彼は使者団の面々の中で、もっとも多く私に付き従ってくれている人だった。
 そのハウイットさんの表情は一見すれば、いつも通り穏やか。けれど視線は鎧の騎士様に釘付けで、口もとはヒクヒクと明らかに引きつっていた。
 ……ハウイットさん、どうしたのかしら? 常ならざる彼の様子が気になって、しばし窺うように見つめる。
「俺が護衛では不満か?」
 鎧の騎士様から発せられた地を這うような声音に、私は慌てて視線を目の前に戻す。
「い、いえ。とんでもない。どうぞよろしくお願いいたします」
 私の立場で不満など唱えられるわけもなく、取り繕って答えると鎧の騎士様は首肯した。
 兜越しゆえ表情は窺えないし、彼はなにも語らない。名乗りすらしない頑なな態度こそが私への敵愾心を雄弁に語っているような気がした。
「あ、あの……?」
 ジッと見下ろされ、居たたまれずに小さく声をあげる。
「其方に言っておきたいことがある」
 彼は観察するように私を眺めてから口にした。
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