敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「はい、なんでしょう」
「俺は王太子殿下と親しくさせていただいている。殿下はいずれ、然るべき身分と気質を備えた女性を正妃に迎える。其方は身の程を弁え、くれぐれも殿下に取り入ろうなどと思わんことだ」
 ……まぁ、この方はなんて正直なのかしら。
 ハウイットさんや使者団の他の面々は私に対し過剰なほど丁寧で、厳しい言葉をぶつけられたことは一度もなかった。ただし彼らの本音がその態度と別にあることは百も承知。
 そんな中で、鎧の騎士様の率直で裏のない言葉と態度はいっそ清々しかった。
 思わず、フッと口もとが綻んだ。
「はい、己の立場は重々承知しております。身の程を弁え、けっして王太子殿下、並びに後の妃殿下の御心を煩わせるような真似はいたしません。お誓いいたします」
 頭を下げて即答した。それに対し、鎧の騎士様から反応はなかった。
 なにか、気に障ったのかしら? 誠意をもって答えたつもりだけれど……。
 ふたりの間にしばし沈黙が流れた。
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