敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「私などを政略で娶ることになってしまった王太子殿下には、申し訳なくてならないのです。その上殿下を頼ろうなど、とんでもないことです」
「……いや、その、なんだ。殿下は絶対に君を悪いようにはしない」
長い沈黙の後、騎士様は困ったように告げる。
「左様ですか。殿下は公平で高潔なお人柄なのですね。ガルニアの民はお幸せです」
私の言葉に騎士様が息をのんで押し黙る。
膝に視線を落とし、カタカタという走行音を聞く。流れる沈黙がこんなに苦しく感じたのは初めてだった。
……あ、そうだわ。
しばらく経ってからふいに思いつき、手持ちの荷袋を漁る。ここまで親切にしてくれた騎士様に、なにかお礼がしたいと思った。彼にとってそれがただの職務だったとしても。
……うん、これがいいわ。
袋の中でそっと手のひらに握りしめたのは、小花柄のはぎれで作った小さなポプリ。裏宮の庭で育てていたハーブを何種類かブレンドしたもので、同じハーブから抽出した精油を私はいつも身繕いに使っていた。
「……いや、その、なんだ。殿下は絶対に君を悪いようにはしない」
長い沈黙の後、騎士様は困ったように告げる。
「左様ですか。殿下は公平で高潔なお人柄なのですね。ガルニアの民はお幸せです」
私の言葉に騎士様が息をのんで押し黙る。
膝に視線を落とし、カタカタという走行音を聞く。流れる沈黙がこんなに苦しく感じたのは初めてだった。
……あ、そうだわ。
しばらく経ってからふいに思いつき、手持ちの荷袋を漁る。ここまで親切にしてくれた騎士様に、なにかお礼がしたいと思った。彼にとってそれがただの職務だったとしても。
……うん、これがいいわ。
袋の中でそっと手のひらに握りしめたのは、小花柄のはぎれで作った小さなポプリ。裏宮の庭で育てていたハーブを何種類かブレンドしたもので、同じハーブから抽出した精油を私はいつも身繕いに使っていた。