敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「はい。実は私の母が殿下の乳母を務めていたんです。その兼ね合いで幼い頃は、畏れ多くも兄と私は殿下と本当のきょうだいのように過ごさせていただきまして」
「なるほど、……あら? たしかハウイットさんも、殿下と乳兄弟だと言っていたような」
「はい。ハウイットは私の兄です」
 言われてみれば、ふたりは亜麻色の髪と紺碧の瞳がよく似ていた。加えてきょうだい揃ってかなりの美形である。
「まぁ、そうだったのね。ハウイットさんには道中とても親切にしていただいたわ。特に鎧の騎士様が行ってしまった後は一段と気にかけてくれて」
「鎧の騎士様、ですか? 急遽、兄が使者団に同行することになったというのは聞き及んでいましたが、その鎧の騎士というのは初耳です。そんな者が同行していたのですか?」
 アニータは首をかしげた。
「ええ。全身鎧の騎士様がほとんど専属で私の護衛を務めてくださったの。ずいぶん皆から敬われていたようだったわ。きっと、騎士団の中でもかなり身分の高い方だと思う」
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