敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「へんですね。使者団の護衛を担当したのは第三師団から選出された騎士で、能力は確かですが身分的にはさほど高くなかったと記憶しています。ちなみに、その鎧の騎士というのはどんな風貌でしたか?」
「二メートルに届く長身で……でも彼は旅の二日目から一昨日までずっと一緒だったけれど常に鎧を着ていて。だからお顔はわからないのよ。……そういえば彼の馬はとても特徴的だったわ。使者団の面々は皆葦毛の馬に乗っていたけれど、彼だけ額に三日月のような模様の入った黒毛の馬に乗っていたの」
 視線をやると、なぜかアニータの目が遠くなっていた。
「あー、なるほど。そういうことでしたか……たしかに急な地方公務だとかで一昨日まで城を空けておりましたね。そして帰城後は、まるでなにかに憑りつかれたかのような怒涛かつ手厚すぎるお迎え準備。えぇえぇ、昨日兄が殿下に向けた生温い眼差しのわけも、これで全部わかりましたわ」
< 63 / 265 >

この作品をシェア

pagetop