霊感御曹司と結婚する方法
向こうに指示された、ホテルの中央アトリウムの待ち合い広場で待っていた。
(来るのは本当に女だろうか……? 相手は一人だろうか?)
何の考えもなしに出向いている自分に、今更気付いているのだった。
(そもそも、私のことがわかるのだろうか……?)
フッと香水のかおりがしたと思ったら、目の前に真っ白のスーツを着た女が立っていた。顔は大きなサングラスで隠していた。
「神崎蒼子さんね」
絶対に知らない女だし、見るからに怪しい人物だ。声や服装の雰囲気から、年の頃は四十前後か。連れはいなくて、彼女一人のようだった。
「行きましょ」
彼女の後について、カフェテリアに入ったが、多少の用心をしたかった。
「せめて、私に席を選ばせてもらえませんか?」
「いいわよ。どこでも」
私は誰からも目につく吹き抜けの下のテーブルを選んだ。それでも、平日のランチタイムの後だったので、店内も店外も人がまばらだった。
ドリンクを注文した。彼女は紅茶で、私は喉越しが悪そうなトマトジュースを頼んだ。何も飲む気がしなかったからだ。
「おかしなものをたのむのね」
いきなり、対面の彼女はテーブルにずいっと身をのり出して言った。
「まず、携帯電話をだしてくださる?」
スマホを取り出すと、電源を切るように言われた。電源を切ると、本当にそれだけかと聞いてきた。
「あなたのバッグの中を見せて」
私は黙って従った。
「エムテイの関係者の方ですか?」
「どうして?」
「向井さんの事を言ったからです」
「言ったかしら?」
「……言いましたよ」
「どうでもいいわ。今日あなたに聞きたいのはこれよ」
そう言うと、女はタブレット端末を取り出して、画面を私に見せた。
それはなんてことはない、私が村岡さんのマンションに出入りしている姿を撮った動画だった。いくつかあったが、どれも最近の日付と時刻が表示されていた。
「糾司の住むマンションね。あなたも、ここの住人なの?」
タダシ? 何故か呼び捨てにしているが、村岡さんのことだ。
「違うわよね? あなた、今、彼と一緒に住んでいるのよね?」
私は答えなかった。
「彼とどういう関係なの? あなたは糾司がどういう人物か知って、手を出しているんでしょうね?」
私はひたすら黙っていた。
「ねえ、喋れないの? 私が怖くて」
何が目的かわからないうちに、余計な事を言って、余計な事を知ってしまってまずいことになることを警戒した。
この女は、私が携帯で録音することを警戒していたから、この女には、多分、会話は録音されている。
(来るのは本当に女だろうか……? 相手は一人だろうか?)
何の考えもなしに出向いている自分に、今更気付いているのだった。
(そもそも、私のことがわかるのだろうか……?)
フッと香水のかおりがしたと思ったら、目の前に真っ白のスーツを着た女が立っていた。顔は大きなサングラスで隠していた。
「神崎蒼子さんね」
絶対に知らない女だし、見るからに怪しい人物だ。声や服装の雰囲気から、年の頃は四十前後か。連れはいなくて、彼女一人のようだった。
「行きましょ」
彼女の後について、カフェテリアに入ったが、多少の用心をしたかった。
「せめて、私に席を選ばせてもらえませんか?」
「いいわよ。どこでも」
私は誰からも目につく吹き抜けの下のテーブルを選んだ。それでも、平日のランチタイムの後だったので、店内も店外も人がまばらだった。
ドリンクを注文した。彼女は紅茶で、私は喉越しが悪そうなトマトジュースを頼んだ。何も飲む気がしなかったからだ。
「おかしなものをたのむのね」
いきなり、対面の彼女はテーブルにずいっと身をのり出して言った。
「まず、携帯電話をだしてくださる?」
スマホを取り出すと、電源を切るように言われた。電源を切ると、本当にそれだけかと聞いてきた。
「あなたのバッグの中を見せて」
私は黙って従った。
「エムテイの関係者の方ですか?」
「どうして?」
「向井さんの事を言ったからです」
「言ったかしら?」
「……言いましたよ」
「どうでもいいわ。今日あなたに聞きたいのはこれよ」
そう言うと、女はタブレット端末を取り出して、画面を私に見せた。
それはなんてことはない、私が村岡さんのマンションに出入りしている姿を撮った動画だった。いくつかあったが、どれも最近の日付と時刻が表示されていた。
「糾司の住むマンションね。あなたも、ここの住人なの?」
タダシ? 何故か呼び捨てにしているが、村岡さんのことだ。
「違うわよね? あなた、今、彼と一緒に住んでいるのよね?」
私は答えなかった。
「彼とどういう関係なの? あなたは糾司がどういう人物か知って、手を出しているんでしょうね?」
私はひたすら黙っていた。
「ねえ、喋れないの? 私が怖くて」
何が目的かわからないうちに、余計な事を言って、余計な事を知ってしまってまずいことになることを警戒した。
この女は、私が携帯で録音することを警戒していたから、この女には、多分、会話は録音されている。