愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

思わず半開きになった口を指摘され、急いで閉じる。


「碧唯くんって、本当の本当におぼっちゃまなんだね」
「その言葉には悪意を感じるな」
「悪意じゃなくて羨望。すごいなって感心してるの」


南の住む2LDKのアパートとは格が違う。

門をくぐって広い敷地内に乗り入れた車が、今度こそ完全に止まる。目の前にヨーロッパのお城のような豪邸が現れた。

外観に施されたモールディングの装飾がクラッシックでエレガント。窓や柱がシンメトリーに配置されている。

碧唯に手を取られて車を降り立ち、アプローチを通って玄関へ。モダンな木製のドアを開けると、すぐさま六十代のエプロン姿の女性がやって来た。


「碧唯さん、おかえりなさいませ。はじめまして、木滝(きたき)房江(ふさえ)と申します」


女性は碧唯に声を掛けてから、南に向かって頭を下げた。
どうやら家政婦のようだ。柔和な表情とふくよかな体形が、南に安心感を与える。
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