愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

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碧唯と新生活をスタートした途端、どういうわけか南はこれまで以上に仕事が増えている。まるでタイミングを見計らったかのように。

仕事が結婚にジェラシーを感じているのではないかと勘繰り、腹いせにパソコンのキーボードを強めにタイピングしたら誤字脱字のオンパレードで逆襲された。

デスクで頭を抱えていたら、真帆に「南さん、頭痛ですか?」と心配され鎮痛剤を手渡されてしまった。
マーケティングの仕事に非はなく、もちろん逆襲するような感情がパソコンにあるはずもなく、南は淡々とこなしていく以外にない。

それはよしとして、南は今、重大な懸念を抱えている。

碧唯と初夜を迎えてから一カ月が過ぎていた。
南たちはあの夜以降、体を重ねていない。子づくり目的で結婚したのに夫婦の営みがないのだ。

彼への想いに気づいたあの日、妊娠したらふたりの関係は終わりを迎えると悲観し、涙が零れた。
碧唯を好きだと認識した途端、失恋の影がチラつくなんて、自分はどれだけ愛情とは縁がないのだろうとも。

南と同じく碧唯も、拠点を日本に移したばかりでハードワークらしく、毎晩残業続きで帰りも遅い。
この一カ月あまり、夕食を共にしたのは週末くらいで、お盆休みには在イタリア日本大使館から業務で呼ばれたため別々に過ごした。
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