愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

とはいえ碧唯とは朝食は毎朝一緒で、コミュニケーションも普通にとっている。スキンシップはどうかというと、キスならしている。――キスまでなら。
それも軽く触れ合うだけの挨拶程度のものである。

先週末も、寝室で彼を待っていたら一向に現れないため、書斎をそっと覗いたら気難しい顔をしてデスクに向かっていた。

南に気づいた彼に手招きで『おいで』と呼ばれたが、唇に軽くキスをして『おやすみ』と書斎を追い出されてしまった。

新婚夫婦として、これはどうなのだろう。それも子どもを作る目的で結婚したふたりなのに。

妊娠しなければ碧唯とはずっと一緒にいられるかもしれない。
でも、体を求められないのはつらい。

そのジレンマに陥っていた。

碧唯の気持ちが南に向いていないのはわかっている。もともと彼は、友情婚推しだ。

しかし身勝手なもので、最初はそれがいいと納得づくで結婚したのに、いざ気持ちに変化が訪れると不都合を感じてしまう。碧唯の心が欲しくなる。

なんてわがままなのだろう。

封印したはずの想いはことあるごとに外に漏れて、南を翻弄していた。
< 162 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop