愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
とはいえ碧唯とは朝食は毎朝一緒で、コミュニケーションも普通にとっている。スキンシップはどうかというと、キスならしている。――キスまでなら。
それも軽く触れ合うだけの挨拶程度のものである。
先週末も、寝室で彼を待っていたら一向に現れないため、書斎をそっと覗いたら気難しい顔をしてデスクに向かっていた。
南に気づいた彼に手招きで『おいで』と呼ばれたが、唇に軽くキスをして『おやすみ』と書斎を追い出されてしまった。
新婚夫婦として、これはどうなのだろう。それも子どもを作る目的で結婚したふたりなのに。
妊娠しなければ碧唯とはずっと一緒にいられるかもしれない。
でも、体を求められないのはつらい。
そのジレンマに陥っていた。
碧唯の気持ちが南に向いていないのはわかっている。もともと彼は、友情婚推しだ。
しかし身勝手なもので、最初はそれがいいと納得づくで結婚したのに、いざ気持ちに変化が訪れると不都合を感じてしまう。碧唯の心が欲しくなる。
なんてわがままなのだろう。
封印したはずの想いはことあるごとに外に漏れて、南を翻弄していた。