愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「暗い顔をしてるのは、早く子どもが欲しいのに作れないから? それともべつの理由?」
千賀子はテーブルに身を乗り出し、ぐいと顔を近づけてきた。
最後のフレーズのほうを強調して聞こえたのは、南に身に覚えがあるせいか、それとも千賀子が確信しているせいか。
先ほど以上に目が泳ぐ。お客で混み合う夕凪の店内をゆらゆらと彷徨い、結局ほかに行き場がなく千賀子と目を合わせた。
「……後者」
「もしかして瀬那さんを好きになった?」
あまりの鋭さに目が真ん丸になる。
暗い顔をしている理由なんてほかにいくらでもあるだろうに、ドンピシャで当ててくるあたりは、やっぱり弓道の達人だ。
「……千賀子、さっきからすごい」
「あの瀬那さんだよ? 一度とはいえ体まで重ねて、そうならないほうがおかしい」
すぐに南の気持ちに賛同してくれる千賀子がありがたい。