愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

「どうしたの? 喧嘩でもした?」
「してないよ」
「それじゃなに?」
「……してないの」


同じ言葉を使って質問に答える。
要領を得なかったようで、目をまたたかせる千賀子に単刀直入に言った。


「夫婦生活がない」
「子どもが目的で結婚したのに?」


的を射た返しが南の胸を一直線に突く。さすがは弓道の名手である。


「……返す言葉もありません」


初夜のときだけで、それ以降はすれ違っていると説明する。

好きでもない女は抱けないと、初夜のときに痛感したのかもしれない。
男性は好意がなくても平気でできるとは聞くが、全員がそうとも限らないだろう。碧唯は真面目な性質だからなおさらだ。

酔いつぶれて彼の部屋に泊まったときになにも起こらなかったのがなによりの証拠である。
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