愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
南たちのように結婚当初から友達なのは、夫婦とは言えない。それこそ書式上の結びつきに過ぎないだろう。
タクシーがゆっくり停車する。南のマンション前に到着した。
「お疲れ様でした。送ってくださりありがとうございました」
お礼を言ってタクシーを降りると、沖山もあとから降り立った。
「わざわざ降りなくてもいいですよ」
上司に丁寧に見送られて恐縮するいっぽうである。
「幸せを感じられないようなら早々に別れたほうがいい」
「思いきりのいいアドバイスですね」
冗談だろうが、上司から別れを提唱されるとは思いもしない。面食らいながら笑い返す。
「お前ならほかにいくらだっているだろう。……たとえば俺とか」
「……はい?」