愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

腰を深く折って頭を下げる。


「いや、俺のほうこそ突然変なことを口走って悪かった」


沖山はバツが悪そうに頬をポリポリと掻いた。
たぶん元気のない南を励まそうとして出た言葉だったのだろう。深い意味はなかったに違いない。


「いえ、部長のおかげで自分の気持ちに向き合う覚悟ができたので」
「……覚悟?」
「はい。私、夫を愛しているんです。誰よりも大切な存在なんです。だから――」
「わかったわかった」


沖山に〝自分の想いをぶつけます〟と勢い余って宣言するところだったが、その手前で彼に止められた。
南に両方の手のひらを向け〝まぁまぁ〟と宥めるようにする。


「すみません。部長相手に……」


言う相手を間違えている。


「仲がいいのはなによりだ。とにかく幸せになれよ。俺からは以上だ」
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