愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
沖山は笑みを浮かべ、手を振りつつミーティングルームを出ていった。
かすかに苦い笑顔だったのは、南に新婚ののろけを聞かされそうになったせいだろう。
そうしていつものように仕事をこなしていた午後、デスクに置いていたスマートフォンが着信を知らせてヴヴヴと振動した。手帳型のカバーを開くと、千賀子からの電話だった。
仕事中に掛けてくるのは珍しい。
スマートフォンを持って、クリエイト事業本部の部屋から出る。
「もしもし、どうしたの?」
《南、ニュース見た?》
心なしか焦った様子が電話の向こうから伝わってくる。なにか大きな事件でも起こったか。
「ニュース? 見てないよ、仕事中だから」
《それならどこかで早く見て!》
急きたてられて困惑する。
「そんな無茶な。テレビは休憩室まで行かないと……。なにがあったの?」
《瀬那さんが事故に巻き込まれたの!》