愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
要人を乗せる車の運転手は、それこそ運転技術に長けた人物だろう。操作を誤る可能性は極めて低いため、そのような書かれ方になったに違いない。
碧唯は無事だと信じている反面、もしも命に係わる重篤な状態だったらどうしようかと不安も拭えず手が震える。
好きだと伝えてもいないのに、そんなのは絶対に嫌だ。
「大丈夫だから……。絶対に大丈夫」
自分に言い聞かせるように口に出して念じる。
それでも鼓動は静かになってはくれなかった。
到着した神楽総合病院の受付で救急搬送された患者の家族だと伝えると、すぐに救急病棟に案内された。
気をたしかに持たなければと、荒ぶる呼吸を宥める。肩を上下させて処置室の前に到着すると、黒いスーツを着た人が数人たむろしていた。
もしかしたら外務省の人かもしれないと恐る恐る声を掛ける。
「すみません、外務省の方ですか?」
振り返った男性が「はい」と答える。