愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「瀬那と申します」
「あっ、瀬那さんの!」
周りにいたほかの男性も南のほうを向いた。
小西がいれば助かっただろうが、彼の姿はない。
「いつも主人がお世話になっております。ニュースを見てここへ……」
頭を下げて続ける。
「そうでしたか。連絡が遅くなり大変申し訳ありません」
「それで夫は……」
「じつは私たちも今到着したところで、まったくわからないんです。おそらく処置中だとは思うのですが」
「そうですか……」
どうやらここで待つ以外にないようだ。
彼がいるのは処置室なのか、それとも重症で手術室なのか。それすらわからずに、ただただ不安に駆られる。
落ち着いて座ってもいられず、南は通路の片隅で両手を握りしめた。
(どうか碧唯くんが無事でありますように)
目を閉じ、天に祈りを捧げる。