愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

「瀬那と申します」
「あっ、瀬那さんの!」


周りにいたほかの男性も南のほうを向いた。
小西がいれば助かっただろうが、彼の姿はない。


「いつも主人がお世話になっております。ニュースを見てここへ……」


頭を下げて続ける。


「そうでしたか。連絡が遅くなり大変申し訳ありません」
「それで夫は……」
「じつは私たちも今到着したところで、まったくわからないんです。おそらく処置中だとは思うのですが」
「そうですか……」


どうやらここで待つ以外にないようだ。
彼がいるのは処置室なのか、それとも重症で手術室なのか。それすらわからずに、ただただ不安に駆られる。

落ち着いて座ってもいられず、南は通路の片隅で両手を握りしめた。

(どうか碧唯くんが無事でありますように)

目を閉じ、天に祈りを捧げる。
< 197 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop