愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「あっ、碧唯くん、見て!」
南がうれしそうに前方を指差す。
その指の遥か先、碧唯たちが向かう方角に灰色の雲の切れ間からわずかに青空が顔を覗かせていた。
たったそれだけのこと。雨雲の間から青空が見えただけなのに、キャラに相応しくもなく宝物を探し当てたような高揚感が胸の奥からせり上がってくる。
「見つけたな」
「うん」
車が進むに従い、青空がぐんぐん迫ってきた。
少しずつ小振りになった雨はやがてぴたりと止み、碧唯たちの乗った車を太陽が照らす。雲に隠されていた腹いせか、それとも夏間近だからか、いつも以上に強い光だ。
高速道路から一般道に下り、山間の開けた場所で車を止めた。
「降りようか」
南を誘い、助手席を回って彼女の手を引く。
外は、通り過ぎた雨の湿った匂いが残っていた。
濡れた木々や草花が太陽の光で艶めいている。