愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
エリートはとてつもなく仕事が速い。
結婚を決めた翌日、碧唯は南の母親に挨拶をするためにアパートを訪れた。
南は「そんなに急がなくても……」と躊躇したが、日本にいる間に済ませておきたいと言われれば了承する以外にない。
なにしろ南の突飛な考えに同調してくれた貴重な人物だから、ないがしろにではできないのである。
長年の友人として付き合ってきた彼を母親に会わせるのは初めて。南が緊張気味なのは、〝ワケあり〟の結婚相手を紹介するせいもあるだろう。
2LDKのアパートは妹も含めた三人で暮らすには少し手狭だが、両親が離婚したあとから住んでいる大切な実家である。
真っ白なシャツにネイビーのジャケットを合わせた、いかにも爽やかな好青年といった装いの碧唯もいつもに比べて表情は硬い。
でもそれも当然だ。なにせ大きな嘘をつかなければならないのだから。
「まぁ、そうだったの。南とは小学校も同じで、部活動の先輩だったのね」
いわゆる〝お嬢さんを僕にください〟的な挨拶を碧唯が堂々としたあと、母・雅美にめでたくお許しをもらい、事情聴取がはじまった。
五十代中盤の雅美はパーマをかけた軽やかなショートヘアがよく似合う、目鼻立ちの整った美人だ。