愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
周りが抱くイメージとそぐわないため、ひと目で〝かわいい〟とわからないように裏地だとかワンポイントだとか。趣味はなるべく隠しているつもりだが……。
(碧唯くんにバレていたなんて……!)
もしや大きなクマのぬいぐるみと一緒に寝ているのも知っているのではないか。
ギクッとしたが、彼を家に招いたことはないから、さすがにそれは知らないだろう。
とはいえ少女時代から南を知っている碧唯には、虚勢も背伸びも通じないらしい。
いつの間にか、周りが期待する自分を演じるようになっていたが、彼にはお見通しのようだ。
すでに二十八歳。長らく恋から遠ざかってきたため、これから恋人を作るのだってひと仕事。そこから結婚に進む時間を考えたら、出産は果てしない先の未来に感じる。
あたたかな家庭と子どもに憧れる反面、永遠の愛を謳う結婚には躊躇いがあるというアンバランスな南にとって、碧唯のように考えてくれる男性は貴重な存在。そうそう出会える人ではない。
そのうえ、碧唯なら南の性格を知り尽くしている。とても魅力的な話なのではないか。
このチャンスを逃せば、一生子どもも家庭も持てないかもしれない。
「……そうする」
お酒を飲んで大きくなった気持ちに後押しされ、とんでもない碧唯の提案に頷いた。
あやふやな愛情よりも、たしかな友情を――。
景気づけにミモザを飲み干した南は、碧唯がわずかに口元を緩めたことには気づかなかった。