愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「そのときからお付き合いを?」
「いえ、当時は部活動の先輩後輩の域から脱していませんでした。私が大学生のときに再会したあともしばらく友人としてお付き合いを続けていたのですが、南さんが私にとって大切な存在だと気づき、ここ一年ほど真剣な交際をしております」
淀みなくさらさらと碧唯が語ったふたりの馴れ初めは、前もって打ち合わせをしておいた偽りの経緯だ。
交際ゼロ日で結婚するとは言えない。
ね?といった感じに碧唯が隣に座る南を見る。これまで見たことのないやわらかな眼差しに図らずも鼓動が跳ねた。
「う、うん」
おかげでぎこちない返事になり、雅美は目をまたたかせてわずかに首を傾げた。
(い、いけない。疑われるような仕草は控えなきゃ)
即座に彼に向かって恋人らしい笑顔を向ける。
「それにしても外交官なんてエリートな方が、南と結婚だなんてびっくりだわ」
「外交官と言いましてもサラリーマンとなんら変わりません。商社勤めであれば海外勤務もありますから。特別な仕事をしているわけではありませんので、どうかご心配なさらないでください」