愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
当たらずも遠からず。
南はぐっと言葉に詰まり、目を白黒させる。母親に余計な不安を抱かせていたらしい。
「南さんから、お義母様の素晴らしさは常々聞き及んでおります。いつも明るく朗らかで、苦労を感じさせないと。南さんが素敵な女性に育ったのは、お義母様のお人柄のお陰なのではないでしょうか。南さんとこの先の人生を歩める幸せに感謝します」
おおよそ嘘には聞こえない言葉がすらすらと碧唯の口から出てきた。
恋人の親に結婚の許しを請うときに、ここまで堂々とできる人はそうそういないのではないか。もしかしたら詐欺師の素質もあるのでは?と勘繰りたくなる。
とにかく演技上手なのはたしかだ。
でも世界の要人を相手に亘り合っているのだから、この程度の話術はなんでもないのだろう。
「まぁっ、こちらこそありがとう」
雅美の頬が赤く染まる。誰もが認めるイケメンに〝お義母様〟と呼ばれたせいだ。
娘の結婚を素直に喜んでいる母を見て、ふと罪悪感が芽生える。それまでは結婚報告をしっかりしなくちゃという使命があったが、許しを得た今、親心を垣間見て申し訳なさが生まれた。