愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
この結婚には愛がないから。
でも――
(友情だって立派な愛情よね?)
男女の間に芽生えるものとは違う種類でも、お互いをパートナーとして認める気持ちは同じだ。
「南、幸せになるのよ」
最後には雅美に激励され、碧唯と連れ立ってアパートを出た。
これから夕食を一緒に食べる予定である。デートと呼べるようなものではなく、今後の予定や作戦会議の場といってもいい。
お互いに車を持っていないため電車での移動である。
自宅にお抱えの運転手がいる碧唯が、その車を出そうかと提案したが、固く辞退した。
運転手付きの車は仰々しすぎるため遠慮したい。
ところが電車に乗って、そうすればよかったと後悔する羽目になった。乗客の目線がやたらと集まってくるのだ。
その中心にいるのが碧唯なのは言うまでもない。
手足が長くモデルのようなスタイルは、つり革を掴んでいる姿さえ様になってしまう。ここが雑多な電車の中でなく、ヨーロッパの美しい街並みに佇んでいるかのよう。
(きっと隣にいる私を見て〝なんであの程度の女と?〟って思ってるよね……)