愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
碧唯に向けられる熱い視線と異質の冷ややかな目を比べれば一目瞭然だ。
当の本人は涼しげな顔をして、まったく気づいていない。
彼と結婚すれば、今のような視線をこれから先ずっと浴び続ける覚悟も必要だ。
恨めしい目をして彼を見ていたら、電車が予想外にガタンと揺れて足がふらついた。
「――っと、大丈夫か?」
咄嗟に碧唯が南の腰を抱いたため、意図せず半身が密着する。
たったそれだけで逞しさを感じさせる体躯にドキッとさせられた。
「ご、ごめんね」
結婚の許しをもらった直後のせいか、妙に意識して気まずい。
すぐに体勢を立てなおしてなんでもないふりを装ったが、碧唯が微かに笑ったのが視界の隅に見えた。