愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

「まずは乾杯だな」


やって来たのは高級として名高いホテル『ラ・ルーチェ』のイタリアンレストラン。碧唯の兄が社長を務めるホテルである。
ナポリを拠点に活躍するインテリアデザイナー監修だという店内は、食卓のあるモダンなミュージアムのよう。天井の高い壁には厳選されたアーティストの作品が並ぶ。
運ばれてきたワインで早速乾杯をした。

薄紫に染まった空の下、二十五階から見下ろす街に明かりが次々と灯っていく様は幻想的だ。


「入籍は俺がイタリアから戻ってきてからにしようと思うけど、南はどう?」
「私もそれで問題ありません」


交際ゼロ日で結婚を即決。スピードが目まぐるしい。
碧唯の表情に安堵が滲むのは、妻になる相手の親への挨拶という一般的には最難関を突破したからだろう。

彼にしてみれば難関と呼べるほどの障害物でないのは、そつなくスマートにこなしたところからもわかるが。


「碧唯くんのご両親にはいつご挨拶する?」
「それも帰国してからにしよう。予定を空けてもらうよう言っておく」
「よろしくお願いします」
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