愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「お兄さんの奥様はなにをされてるの?」
「琉球ガラスの工芸家。ご両親はずいぶん前に亡くなっているそうだ」
彼女の祖父は有名な工芸家だそうで、彼女自身も都内で工房を開いているという。
近い将来、南の義姉になる女性が深層の令嬢ではないと聞き、勝手に親近感を抱く。今度、碧唯にその工房に案内してもらおうと密かに考えた。
そうしている間にもコース料理は進んでいく。
きのこがたっぷりのフラン、トマトとオリーブのブルスケッタ、ジェノベーゼのパスタなど、見た目も鮮やかな料理はどれも絶品だ。
メインも食べ終わり、デザートとしてアーモンドミルクのパンナコッタがテーブルに置かれた。
「南、一緒にイタリアへ行かないか?」
「えっ? 日本に戻るんじゃなかったの?」
唐突な誘いにスプーンを落としそうになる。
南は、だから結婚を決めたのに。
「たまには休暇を取ったらどうかと言ってる。仕事漬けだっただろう? リフレッシュするのもいいんじゃないか?」
イタリアに住むわけではないらしいとわかり、ほっとする。