愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
週が明けた月曜日、南は出勤早々、クリエイト事業本部の部長である沖山竜一のデスクに向かった。有給休暇の取得を記した届出書を手にして。
三十代半ばの沖山は社長が他のマーケティング会社からヘッドハンティングした人材で、ソーシャルリンクに入社して二年ほど。年数で言えば南のほうが先輩だが、仕事では全然及ばない。
パーマをかけたやわらかな髪に反して眼光の鋭い男である。スクエアの眼鏡をかけているおかげで、視線の強さは幾分和らぐか。
「部長、おはようございます」
「おはよう。ん? 休暇届?」
頭を下げながら南が差し出した用紙を受け取った沖山が、目を瞠る。
「仕事人間の倉科がどうした」
やはり沖山の目から見ても、南のイメージは同僚たちが抱いているものと変わらないらしい。
「彼氏が赴任先から帰国するので、その準備でイタリアへ行きたいんです」
「彼氏!? 倉科っ、男いたのか!?」