愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

彼との間には友情しかないはずなのに、碧唯に対して好意のある素振りを見せる咲穂に、なぜフラストレーションを感じるのか。

そこでふと気づく。

(そうだ。きっと夫になる碧唯くんに対する独占欲のようなものね。なんとなく自分の領域を侵された気がしたから。まだ結婚もしてないのに、私ってば……)

だいたいふたりの結婚は、そういった負の感情を避けるためのものである。モヤモヤするのはお門違い。
頭を振り、邪な想いを蹴散らす。南たちは咲穂とは逆方向に歩きはじめた。


「咲穂さん、綺麗な人ね。外交官なら仕事もできるでしょうし才色兼備だ」
「そう? 俺は断然……うけど」
「え? なに?」


途中、車のクラクションが鳴り響いたため彼の言葉が聞き取れなかった。


「いや、なんでもない」


もう一度言うのが面倒だったのか、聞き返したものの適当にはぐらかされた。

手を取られ、ぎゅっと握られる。
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