愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
『ムーンストーンの宝石言葉は幸福、恋の予感だよ』
露店商がネックレスを指差して微笑む。
(恋の予感……)
碧唯の通訳で知った宝石言葉が、なぜか心を疼かせる。
羽毛でふわりと触れられたみたいだ。
「これにする」
バッグから財布を取り出そうとすると、碧唯が素早く支払いを済ませてしまった。
(こういうスマートなところ、ずるいな)
女心を巧みにくすぐる。先ほどのトラットリアでの支払いといい、嫌味なく自然とできるのは素敵だ。
「おねだりしたみたいでごめんね」
「荷造りの手間賃で」
「じゃ手抜きできないね」
「手を抜くつもりだったのか」
碧唯が鼻をクスッと鳴らしながら南を軽く睨む。