なぜか推しが追ってくる。
……と、一人でスマホを睨みながら悶えているけど、これ多分傍からみたらすごく変な人だろうな。
それにもうすぐ部活始まる時間だし、こんなところいないでそろそろ行かなきゃ。
そう冷静さを取り戻して顔を上げる。
「ねえ。画面の中の俺じゃなくて、ちょっとは目の前にいる俺を見る気ない?」
顔を上げた先の超至近距離に、今まで見ていた画面の中のイケメンと同じ顔の人がいた。
恭くんは少し目を細めて、恐る恐るという様子でわたしのスマホに映る自分を覗き込んでいる。
「ぬおあぁっ! ど、どこから降臨なさったぁぁ!?」
降臨…… 天上に住むとされる神仏が地上に来臨すること。(byデジタル大辞泉)
わたしにとって恭くんは天上に住む神なので誤用ではない。
てかびっくりした!! 心臓に悪い!!!
スマホを見るのに夢中で、近づいてきてる人がいるのに気が付かなかったらしい。
「瑞紀ちゃん探してたらさっきの場面見ちゃって……」
「あ、……見てたんだ」
「……その女装してる写真、できれば消してほしいな」