冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
それが彼が残した言葉。
ずっとずっとリーンハルトを傷つけてきた。彼はレティシアに嫌われていると思っていたのだ。だが、仲が悪くなるということはそういうことで、それに気づかなかった自分は最低だ。
「ごめんなさい。ごめんなさい。リーンハルト。私ったらまた取り返しのつかないことを……」
もっと他にやりようがあったはず。独りよがりで、なんて愚かなのだろう。
――大切なあなたを傷つけた。何度くりかえしても私は過ちを犯す。
もう、ループなんて終わればいい。
♢♢♢
学園の休みが明けた。
レティシアは教室に入り、友人のもとに向かう。
「ねえ、エレイン。私、討伐隊に入ろうと思う」
レティシアが思いつめた口調で言うと、エレインが驚きに目を見開いた。
「奇遇ね。私もよ。どうにかなるでしょ」
と花が綻ぶように笑う。
「え? でも危ないわよ」
レティシアは目を瞬いた。
「何言っているのよ。光魔法師は後方支援だし、あなたが行くなら心強いわ!」
「うん、私も」
二人の少女はがっちりと握手した。
その日から剣術を習うことにした。しかし、レティシアはもう基準に達していてブラッシュアップということになった。
そして二人は朝晩乗馬や体力づくりに勤しんだ。
「ねえ、レティシア。あなた授業受けている時より、生き生きしていない?」
「うん、私、体動かすこと大好き。体力には自信があるの」
強くなって、リーンハルトに会いに行くのだ。
◇◇◇
近隣の村を荒らすガルム狩りが終わり、リーンハルトが所属する部隊は帰途に就いた。
今日も無事だった。
辺境の地にきて二ケ月がすぎる。最初は大変に感じた生活にも、ここの環境にも今ではすっかり慣れた。
リーンハルトは大切に胸ポケットにしまったアミュレットを取り出す。いつも喧嘩ばかりしていた義姉だが、そこからは柔らかく温かい波動を感じる。
魔力の波動はその人の心そのものだと言われている。そのため人の傷を癒す光魔法師は結婚相手には最適と言われていた。
レティシアのもとにも数多くの縁談が来ているのに、彼女はなぜかそれを蹴り続けている。そのことで父も「レティシアは独身で働き続けるつもりなのだろうか?」と困惑していた。変わった姉だ。