冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「なんで?」
「それ以外考えられないから」
 
 そう言うと彼は二階に駆け上がった。どのみち彼は気付いていたのだ。

 パーティ用のドレスは重く、討伐隊で戦っていた彼にはとても追いつけない。リーンハルトは前回よりもずっと強い。だから、大丈夫だとレティシアは自分に言い聞かせた。

 レティシアが二階へ行くと悲鳴を聞いた使用人たちが集まってきていた。父や執事が各部屋へ戻るように指示を出している。

 そして、ミザリーの部屋の扉は薄く開き、淡い光が漏れていた。どくどくと心臓が脈打ち嫌な感じがする。まさか家で魔術を……。

 レティシアは右往左往する使用人の横をすり抜け、部屋にたどり着き、中をのぞこうとする。

「来ちゃだめだ」
 すでに部屋にいたリーンハルトが戸口にやってきて止める。

「何があったの?」
 不安で声が震える。隙間からなんとか覗き込むと、メイドのニーナがうつぶせで倒れているのがみえた。

「ニーナ?」
 そしてところどころ焦げている床。もう少し覗き込もうとすると止められた。

「いいからおいで、レティシア」
 リーンハルトに連れ出される。結構強引に腕を掴まれた。
「ちょっと何がどうしたの?」

 しかし、リーンハルトが答えることはなく。

「それより、今日指輪が割れた以外に何かなかった?」
「何かって……」
「大事なことなんだレティシア。形見の指輪が割れる前に、何か異変はなかったか? それになんであんな人目につかない場所にいたんだ? 多分俺じゃなければ見つけられなかった」

 彼の勢いに気圧され、とっさに誤魔化そうとも思わなかった。

「パーティがお開きになる少し前、アミュレットが砕けたの。それで、死ぬんじゃないかって。もしも死ぬのなら、屋敷のなかよりも庭の方が人目につかないし。迷惑かからないかなと。エレインとアランの晴れの日だから、今日死んだと思われたくなかったの」

「お前、なんで黙っていたんだよ!」

 リーンハルトの鋭い視線を受け止めきれなくて、目をそらす。つい素直に答えてしまって後悔する。レティシアの腕を掴む彼の手に力がこもる。
 そう一人ぼっちで死ぬのが怖かった。だから彼が来てくれて嬉しかった。いつもそうやってリーンハルトには甘えてしまう。

「ねえ、リーンハルト、力強すぎ。腕が痛い」

 彼が慌てて手を緩める。でも離してはくれない。

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