冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 十三歳になるリーンハルトは、レティシアより少し背が高くなっている。彼は長い足を投げ出し、ふんぞり返るように椅子に座っていた。本当に腹が立つ。端整な面立ちにさらさらな金髪で、数年前は天使のように愛らしかったのに。どんどん生意気になり、プライドばかり高い。

「何を企んでいるか、知らないが、手短かに済ませたい」

 どうやら話は聞いてくれるようだ。そして驚いた事に彼は「そこに座って」と椅子を指し示した。紳士教育が行き届いているので、ついうっかり嫌いな相手にも椅子を勧めてしまうらしい。レティシアはありがたく腰を下ろす。

「で、恩返しって、何?」
「はい、いつまでもこの家の世話になるのではなく、仕事を持とうかと」
「仕事? その前にお前はまず礼儀作法を守れ。最低限この家に恥をかかせるな」

 正論だが、十三歳の義弟に言われると腹立つ。最近では頑張ってお作法も身についてきている。

「あの、私、何か粗相をしましたか?」

 少しかッとして言い返す。すると彼は顎に手を当て考える。いちいち所作が生意気で、美男子なだけあって様になっていて、余計に腹が立つ。
 涼やかな目元は長い金のまつげに彩られ、いまは伏せられている。

「……いや、ここ最近していない」
「それならば」

 更に言い募ろうとする。

「褒めて欲しいのか?」

 唇には冷笑を浮かべ、青く鋭い眼差しが注がれる。レティシアは慌てて首を振った。本格的に嫌われている。諦めようと思ったが、この家で、ミザリーは頼れない。だとしたら、己の死に、いままで、関わってこなかった義弟から、情報を得るしかない。

「あの、自分の魔力を生かしたいの」
「え? お前魔法が使えるのか?」

 義弟が驚いたように瞳を瞬く。

「いいえ、でも、魔力はあるらしいので、勉強したいと思って」

 リーンハルトが唖然とし、しばし、沈黙が落ちる。その沈黙が痛くなってきた頃、彼が徐に口を開いた。

「魔法師になるにはお前の苦手な勉強をしなくてはならないんだぞ。だいたい読み書きは出来るのか?」

 もっともな疑問だ。易しい本ならば読める。多分、レベル的には十歳くらいだと思う。やはり、依然として勉強は苦手だ。

「はい、心を入れ替えて、勉強したいと思います」

 義弟に丁寧語。真面目にいったのに、リーンハルトがいらいらと舌打ちをする。

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