貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
余計な一言のせいで再び沈んでしまった空気に耐えかね、私はジョッキの残りのビールをグビリと飲み干した。
こういう時はメニューでも見ながら話題を切り替えるに限る。

「えーと、次何飲もうかな~。カクテルもいいけどもう一杯ビール飲もうかな。神山さんはどうします?」
「えーと、じゃあ、僕は梅酒のロックで」
「あ、ビールより梅酒派なんですか?」
「ええ、まあ。実はそれほどお酒は強くなくて」

……じゃあなんで飲みに誘ったのか。

疑問はさておき、追加注文した飲み物と料理が届けば、とりあえず目の前のご馳走とお酒に集中。パクパク食べて、飲んでとやっているうちに……目の前のイケメンは、ほんのり頬を赤らめて、すっかり出来上がっているようだった。
酔ったイケメンは仕事中のキリリとした顔ともまた違い、多少気の抜けた表情がなんともまた可愛らしい。
しっかしほんとに酒が弱いんだなあ。
そんな事を思いつつ、いつもと違うその姿をこっそり愛でる私である。

「……なんか、先程は、お恥ずかしい場面を見せてしまいまして」

暫く押し黙っていた後にイケメンは、意を決したのか多少ろれつが回らない感じで重い口を開き、本日2度めの謝罪をする。

「あ、いやーまあ、そういう場面に遭遇することもありますよね」

そんな場面に遭遇することなんて滅多にねーよ!とは思いながらもそんな事を言われたならば、一応フォローを試みる。 

「え?そうもんなんですか?」
「あ?ええ。多分、ですけど」

納得いかなそうに首を傾げるイケメンに、適当にも程がある、ざっくりとした慰めの言葉をかけてやる私である。

よし。それではイケメンも会話できるまでに回復してきたようだし先程の給湯室の話題も出たことなので、酔いの力も借りて紺野洋子との話でもぶっこんでみようか。
やっぱりなんだかんだで、他人の恋バナって気になるもんね。

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