貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
ああ、彼は、今もの凄く怒っているのだ。
そして、淡々としているのは、それを必死で爆発しないように抑えているからなのだ。


「そもそも大事な話をひとつしておくけれども、僕は君なんか好きじゃない。好きだったことなど一度たりともないんだ。」

神山透は、最後にダメ押しとばかりに紺野洋子にとどめを刺す言葉を放った。

「だからもう僕には構わないでくれ。僕と山本さんには近づかないでくれ。これ以上何かするんだったらば……。そうだね、僕にも考えがあるよ?」
「……か、考えって何よ?どうせ何もできないくせに!」

形勢不利とわかりながらも紺野洋子は最後の抵抗を試みるようだった。

すると神山透は、まだ何か言おうとするのかと言った呆れたような表情し、ほんの少し思案する素振りをする。

「そうだね。……じゃあ例えば『あの日僕は君に無理やりホテルに連れ込まれた』と社内のセクハラ対策室にでも相談に行こうかな?男性からのセクハラ被害の相談だなんて滅多にないことだろうから、いくら守秘義務があるとはいえ、社内ではとびきり刺激的なゴシップとしてすぐ広まるだろうね?そしたら君、もう会社にいられなくなるんじゃない?」
「そんな!卑怯よ!!」

紺野洋子は喚き立てるがそれに構わず神山透は話を続ける。

「君については、僕は今まで会社の色々な人に相談もしていたし、今日だってほら見て?」

その手には、画面に録音の文字が光る携帯が握られていたのだった。

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