貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
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 しかし会話の流れに身を任せ、うっとりと目の前の彼女に見惚れていると、この天使はとんでもない事を口にする。

『言いにくい話ですけど、神山さんて、女性とえっちする時どんなことするのか知ってます?』

……はあ?!

 確かに話の始まりは、こちらのなんの気無しに発した問いかけだったかもしれないが、なんと男子の理性を崩壊させるには充分過ぎるパワーワードを口にするのだろう。

 誘惑しているつもりではなさそうだ。
が、真剣な表情ながら恥ずかしそうに頬を染め、ちょっと上目使いになっているところがなんとも煽情的で大変心をくすぐられる。

……くそ。可愛いじゃないか。

 自分は今、失恋したことになっている。
彼女に手を出すのは今、このタイミングじゃない。
わかっている。
わかってはいる、けど。

 身体からでもいいから、とにかく彼女を捕まえておきたい。
 身体さえ繋げてしまえはきっとなんとかなる。なんとでもなる。
 心を手に入れるのはその次だっていい。

 ……普通だったらそんな常識外な行動に出たりはしない。
けれどその時の神山透は完全にどうかしていたとしか言いようがない。酔いの勢いまま、とんでもないお願いを彼女に持ちかけた。

 そしてそれが、彼女との楽しくも拗れた関係の始まりだった。
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