貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「うぅーん……。これが運命のジュエリー、ってやつなのかなあ……」
「ん?何が運命なんですか?」

 一人悶々と悩んでいると、気になったのか神山透も背後から覆い被さるように雑誌を覗き込んでいる。

「これ……。控えめだけれど、キラキラ眩しく光り輝いているところが、郁子さんみたいで素敵ですね」

 『控えめ』とかってそれ褒め言葉?と思うものの、宝石の王様に例えられて嫌な気分になる人はいない。良い意味として取ってやろうと思う私である。

「本当に綺麗ですよね。ちょっと買うのには勇気がいりますけど、なんだか凄く気になっちゃって」

 視線をページから離すのも名残惜しく写真を指で触れていると、神山透はそっと私の後髪をかきあげて「間もなく郁子さんの誕生日ですよね?プレゼントはこれにしますか?」なんて聞いてくる。

「僕が買ったものを身に付けて日々を過ごしてくれるなんて想像したら、もう堪らないですよね」
 
 そんなことを言いながら首元のまだ見ぬネックレスを辿るように指先で一周させると、唇を這わせ、舌でその肌を愛撫する。
 抱きしめてくる腕に力が込められ、背中には神山透が発する体の熱が感じられる。
 少しくぐもった独占欲を滲ませた声と、ヌルリとうごめく舌の熱い感触。これから始まる官能の合図に身体がぞくりと総毛立つが、ここで快楽に負けてしまうのもいかがなものか。何事もないように話を続ける私である。

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