貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「ひゃぁ、ん……っ!でも、買って頂くにはちょっと高額ですし……っ」
「そんなことないですよ?大好きな人が喜ぶ顔が見れるならばいくらかかったとしても、お金なんて惜しくありませんよ」

 ……考え方が中々に極端で、破滅的である。
 キャバクラのご贔屓嬢の為にせっせと散財するおじさんみたいな考え方に一瞬にして頭は冷えて、神山透の懐事情を心配してしまう私である。神山君よ、私がおねだり上手な金遣いの荒い女でなくて良かったな。

「お気持ちはありがたいんてすけれど、これは頑張って自分で買ってみようと思うんです」
「そうですか?」
「自分のお金で買うからこそ、意味のあるものでもあると思いますし」

 イケメンへの余計な心配はさておいて、断りを入れる私である。
 仕事に全力投球した成果として手に入れてこそ、この宝石は光り輝くのではないだろうか。別写真を彩るモデルの様に、ネックレスを身に付けて颯爽とオフィスを闊歩する自身を想像する。
  
「でも、プレゼントしてくれるって言って頂いたのは凄く嬉しかったんですよ?」

 破滅的だろうとなんだろうと、私の為に買ってくれようとしたその気持ちが、やっぱり何だかんだで胸を打つ。そんな気持ちを表したくて軽く頬にキスをする。
 
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