貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「……そういうの、ほんとに山本さんに訴えられてもおかしくない発言ですからね?」

私を庇うように、嫌悪感丸出しに言い放つ小西さんのことなどどこ吹く風、実にいやらしい表情を浮かべたまま「おー怖っ!」なんて言いながら失礼な同僚は自席へと帰っていく。

そのなんとも憎たらしい背中に向けて、何か言ってやりたくなる。私は激しく動揺しながらもありとあらゆる罵詈雑言を心の中で投げつけてやりたい衝動に駆られてしまうのだった。

顔が知られてなくて悪うございました!

立ち去る間際、最後の最後までなんとも腹立たしい。
そんな同僚に激怒しつつも、社員食堂になんて行かなけりゃ良かった!!と猛烈な後悔の念にも襲われる。

このところ好んで買っていたコンビニの「レタスたっぷりサンドイッチ」に流石にそろそろ飽きてきて、何故か昨日は無性にきつねうどんが食べたくなって、ならばと思い社員食堂に向かったのだった。
ああほんとにもう。
昨日の私がレタスサンドに飽きなければ、きつねうどんが食べなくならなければ、社員食堂にさえ行かなければ……。

あのまま昼を自席で大人しく過ごしていれば、地味子の特徴をフルに生かして「神山透の隣にいた女の正体は結局不明のまま」として、このままフェードアウトできていたはずだったのに。

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