俺が、好きになっちゃダメ?
「ジュリエット! ……ジュリエット!」
ロミオとジュリエットも、もうそろそろクライマックスだ。
ロミオ役の鮎川くんは、倒れているジュリエット役の明日香ちゃんを呼び続ける。
青い顔をしたまま毒薬を飲み、ロミオが死んでいくシーンを見ると、なぜだか玲の姿と重ねてしまった。
というのも、鮎川くんの演技がものすごく上手だったからである。
その後、すぐに剣を使ってロミオの後追いをするジュリエット役の明日香ちゃん。
玲も、あんな風に苦しい思いをしながら自分の命を手放したのかな。そして、わたしもジュリエットのように後追いしていけば、色をなくす世界を生きる必要なんてなかったのかな。
「……あっ」
わたしは、すぐにふるふると首を横に振った。
そんな考えをしてどうするんだ、全く。
現実と脚本にある話は違うんだ。わたしはジュリエットじゃないし、玲はロミオじゃない。
それに、わたしがあの時ああやって死んでしまえば夏芽とは出会えなかったんだから。


