甘く、溶けるように。
なんだかもう、自分が惨めに思えてきた。
ついこの間まで「諏訪先輩とデートだ!!」とはしゃいでいた時間が懐かしい。
「…私ね、クリスマスに彼氏と過ごすの…すごい憧れだったの」
そんな言葉を、吐き出すようにこぼしていた。
「高校生になったら、自然と彼氏ができるって思ってた。そりゃもちろん、努力とか必要だっていうのはわかってたけど…その上で、“いつかは”って漠然と思い描いてて…」
私の家は、多くのカップルが通る道沿いにある。
駅に向かう学生や、家に彼氏を連れてくる人たち。
小学生くらいの頃からそういう光景を見て育ったせいか、彼氏彼女という関係に憧れを抱いていた。
なんなら、高校生もいるが、中には中学生で男女仲良く手を繋ぎながら下校する子たちも見てきた。
だから私は、幸せそうにしている恋人たちの仲間になりたくて。
「色々頑張ってたつもり…なんだけどね。やっぱり、ダメだったみたい」
…だめだ、自分で言ってて泣きそう。
自嘲気味に言ってみたものの、自分で自分の傷をえぐるだけ。
今日のために買ったワンピースも、クローゼットの奥から引っ張り出した高いコートも、一生懸命練習したメイクとかも…。