俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
「でも、あの……徳川さんは?」

「それは誤解だ。後で詳しく説明するとして、俺が生涯ずっと隣にいてほしいのは、未央奈お前だけだ」

「大輝……さん」

 突然のプロポーズに喜びと驚きで、声が出ない。代わりに一度止まりかけていた涙があふれ出した。

「また泣くのか?」

 呆れたように彼は笑ったが、それでも私は涙を止めることができない。

「だって、うれしくて。私また、大輝さんと一緒にいていいの?」

「いいも、何も。俺は別れたつもりなんてこれっぽっちもなかったからな」

 確かに彼は「別れる」とも「距離を置く」とも言わなかった。ただ「好きにすればいい」とだけ。

「それなのに、お前は話も聞かずに部屋を出て行って、俺がどれだけ傷ついたと思う?」

「……ごめんなさい」

 彼の気持ちを考えていなかったことに、今更ながら気が付く。

「まぁいいさ。おかげでプロポーズする決心がついたし、この通り命拾いもした」

 彼は指輪の箱についた傷を指でゆっくりなぞった。

「この箱、新しいの買いなおさなきゃな」

 笑った彼に、私は首を振る。

「大輝さんを守ってくれたので、この箱は私がこのまま大切にします」

 私の言葉に笑みを浮かべた彼が、箱から指輪を取り出した。

「手を出して」

 言われるままに、差し出す。

「未央奈、結婚しよう。もうお前に偽物なんて言わせない」

 まっすぐに見つめられ、思いを告げる彼。いつだって愛を告げる彼の言葉はまっすぐで私の胸の奥に届く。

 出会ったのは偶然だった。でも恋に落ちたのは必然。だってこんな素敵な彼を好きにならないなんて、どんなに努力したって無理だから。

「大輝さん、私あなたの本物になりたい」

「何言ってる、俺にとってはずっと未央奈な本物だ」

 彼が私の左手の薬指に、ダイヤの指輪をはめた。初めて感じるその重みが彼の思いが詰まったものだと思うと、何物にも代えがたい宝物だ。

「なぁ、返事は? 俺と結婚するよな?」

 まるで決定事項かのように言う彼。でもそんな言い方が彼らしくて安心する。

「はい。よろしくお願いします」

 本当はもっと聞いておきたいことがたくさんあるけれど、でも今はどうでもよかった。彼だけを信じることに決めた。

 きっとそれが私にとって一番の幸せだから。

「未央奈。こっちに」

 彼が私の手を引いて、近くに来るようにと催促する。
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