俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
「せっかくいお見舞いに来てくださっているのに、失礼ですよ」

「そうだ、俺にそんなこと言っていいいのかよ。徳川さんのこと俺からも証言してやろうと思ってきたのに」

「徳川さんのことですか」

 大輝さんの方を見ると、彼が真剣な顔になった。

「ちゃんと話をできてなかっただろ。俺もうやむやにはしたくない」

 確かにまだその問題が残っていた。

 もう彼の気持ちを疑うことはないけれど、やはりそこはクリアにしておきたい問題だ。

「実はと徳川さんには、ずっと好きな人がいたんだ。ただ実家に反対されていて、それで俺との見合いの話が出た」

 野迫川社長が大輝さんを手伝うように補足する。

「個別の縁談話なんかも、うちの会社の伝手を通じで紹介したりすることもあるんだ。それで大輝の親父さんに言われて、僕が徳川さんと大輝の見合いをセッティングした」

 いまだに大企業では家同士のつながりを大切にし、それによって業務を拡大していくことも少なくない。

「俺は安直に、未央奈がいれば向こうはあきらめてくれると思ったんだが、それが逆に裏目にでた」

「裏目に? どうして……もしかして」

「あぁ、たぶん想像通り。結婚後は誰と付き合おうと干渉しないから、自分も好きにさせて欲しいって」

 私はまさか彼女がそんな申し出をしていたとは思わず、心底驚いた。

「そんな顔になるのも無理ないよな。もちろん俺は断った。未央奈を愛人にする気なんてこれっぽっちもなかったからな」

 はっきりと言い切ってくれたことがうれしい。

「おかしいと思ったんだ。見合いが成立しないことなんてよくあることなのに、彼女ものすごく大輝にこだわるから」

 野迫川社長も間に挟まれて大変だったのか、肩をすくめている。

「それで、彼女の事情を聞きだし、向こうの彼氏を含めて時間をかけて話をして、色々と準備を手伝っていた。今頃ふたりは、アメリカだな」

「えっ! 駆け落ちですか?」

「まぁ、そうなるな。その説明をするつもりだったのに、未央奈が全然話を聞かないからややこしい話になったんだ」

 恨めしそうに見られて、申し訳ない気持ちになる。

「ごめんなさい。話を聞くのが怖くて」

「飛鳥ちゃんが悪いんじゃない。不安にさせた大輝が悪い」

 野迫川社長が加勢してくれるが、大輝さんはそれが気に入らないらしい。

「おい、部外者が口出すな。ややこしくなる」
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