俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
「ごほっ……もう、いきなり何を言い出すんですか?」

 バッグからハンカチを取り出し拭い、慌てて水を飲んだ。私は内心ドキドキしていたけれど落ち着いたふりをして彼の方を見る。

「それは先日内定したと思ったんですが、私の間違いですかね?」

 ネックレスに通している指輪を見せる。

「それとも私がどっちかひとつ選ぶ女だと思ってるんですか?」

 大輝さんが口角をあげて楽しそうに笑う。

「そうだな。なんにでも全力出すいい女だったの、忘れるところだった」

 大輝さんは私が手にしているネックレスの先にある、エンゲージリングを手に取りそこに口づけた。

「食べ終わったなら、早く帰ろう。ふたりになりたい」

 囁くように言われて、恥ずかしくて頬が赤くなる。私はごまかすように席を立った。

「いいですけど、まだ色々お預けですよ」

「ほ~色々ってなんだろうな。帰りながら教えてもらおうかな」

 わかっているくせに、今日もやっぱり彼は意地悪だ。

 互いに笑い合いながら、手を繋ぎ月明りに照らされながらふたりの部屋へ帰った。



「はぁ~疲れた。もう一歩も動きたくない」

 仕事から帰って来るなり、私はそのままリビングのソファにダイブした。さすがに自分が担当の挙式を一日二件こなすと、体力も精神力も帰宅時にはほぼゼロになる。

 しかしそのぶん満足度も二倍。今日も幸せなカップルを近くで見られた。この仕事をしていて一番うれしいことだ。

 とはいえ……疲労感は半端ないのだけれど。

「おーい、未央奈。何か食べるか?」

 出張から直帰した大輝さんは、今日は帰宅が私よりも早かった。すでにくつろぎモードに入っている。

「ううん。いらない。こんな時間からだと、明日むくんじゃうから。それよりもお風呂に入りたい」

「そう言うと思って、準備は出来てる」

「あ~ん、大輝さん大好き」

 本来ならば私の比較にならないほど忙しい立場の彼なのに、ついつい仕事を優先して家事がおろそかになる私をフォローしてくれる。

「ほら、早く入って」

「ん~でもしばらく動けないかも」

 一日中ヒールで走り回って疲労困憊の体は、一度ソファに座ってしまうとなかなか動き出せない。

「今日もよくがんばったんだな」

 彼がソファに座り、私の髪をやさしく撫でた。大きな手のひらで撫でられて気持ちよくて思わず目を閉じる。

「きゃあ、えっ!? なに??」
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