俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
「ちょうどいい機会だ。みんなに報告だが。俺と飛鳥さんは先日無事婚約しました」

「えっ! 痛いっ」

 誰よりも大きな声で驚いたのは私だ。しかしそんな私の足を、彼がテーブルの下で軽く蹴った。

 余計なことをしゃべるなという牽制だ。助けてもらった手前強く出ることができない。

「わぁ、おめでとうございます」

 香芝さんがパチパチと手を叩くと、周囲もそれにつられて拍手をした。天川課長まで……。

 いつ、どこの誰と誰が婚約したの?

「みんな、ありがとう。今回はこんなトラブルになってしまったが彼女のことはもちろん、このサロンは俺が守るので、みんな安心して仕事をしてほしい」

 すらすらと嘘が口から出てくる隣の男の顔を、信じられないという思いを込めて見つめる。しかしそんな不信感いっぱいの私の顔を見ても、彼は終始笑みを浮かべていた。とんだ役者だ。

「未央奈。今日は怖かっただろうから、送っていく。みんなも今日は早めに上がって気を付けて帰るように」

「はい」

 声をそろえて返事をするみんなを、私はぼーっと眺めていた。
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