俺様御曹司のなすがまま、激愛に抱かれる~偽りの婚約者だったのに、甘く娶られました~
「新郎新婦チャペルに移動します。あちらでおふたりに声をかけるのが一番いいタイミングだと思いますから」
私は答えるつもりはないとわかるように、そこで話を切り上げた。彼も私の気持ちを理解したようで、だまったままチャペルの中に入っていった。
「さて、ここを片付けてっと――あれ、あの人……うそでしょ」
写真撮影で使った椅子の位置を元に戻していると、ふらふらと歩く男性の姿が目に入る。
なんで、ここにいるの? 逮捕されたはずじゃ……。
私は恐怖に震えながら、もう一度男性の顔を確認した。林さんだ。
何か嫌な予感がする。
そう感じた瞬間、私は走り出していた。
しかしそのせいで、林さんは私の存在に気が付いたようでこっちに向かってくる。
「あぁ、飛鳥さん。久しぶりだね。会いたかったよ」
私を見つめて醜悪な笑みを浮かべている。私は後ずさりながらガーデンテーブルの後ろにまわり込んだ。
「こないで。契約はすでに破棄されていて、あなたはうちとはもう関係ないはずです」
「ひどいなぁ。俺たちの式をここでしようと思っていたのに」
「俺たちの……式?」
こんなに拒否しているのに、どうして式なんて話になるの?
こちらの話など一切聞いていないのだ。
「そうだよ、それなのに君は別の男と一緒に暮して……がっかりだよ」
大輝さんのことを言っているのだ。この人はどこまで――。
「でも、やっと目が覚めたみたいだね。同棲やめて部屋に戻ったのを知っているよ」
「……ひっ」
彼の部屋を出たのはつい最近のことなのに、林さんがそれを把握していることに恐怖を覚える。
「ねぇ、今度は俺と一緒に暮そう」
恐怖で声が出ない。私は必死いなって首を左右に振って無理だと伝える。
「なんでだよ。君は僕の運命だろ。そうだよねっ!!!」
「きゃあああああ」
林さんは大声で叫ぶと同時に、走ってこちらに向かってきながら持っていたトートバッグに手をいた。
そして光る何かを取り出した。太陽の光を受けて光るそれが何か判断するのが一瞬遅れた。
手にしているのは果物ナイフ。それを私にめがけて振り下ろした。
「未央奈!!」
大輝さんが私を呼ぶ声が聞こえた。次の瞬間、大きな背中で私の視界が覆われる。
「大輝さん?」
名前を呼ぶと、彼が振り向いた。でも彼の表情はいつもとは違って、苦悶に歪んでいる。
「だ、大丈夫……か」
私は答えるつもりはないとわかるように、そこで話を切り上げた。彼も私の気持ちを理解したようで、だまったままチャペルの中に入っていった。
「さて、ここを片付けてっと――あれ、あの人……うそでしょ」
写真撮影で使った椅子の位置を元に戻していると、ふらふらと歩く男性の姿が目に入る。
なんで、ここにいるの? 逮捕されたはずじゃ……。
私は恐怖に震えながら、もう一度男性の顔を確認した。林さんだ。
何か嫌な予感がする。
そう感じた瞬間、私は走り出していた。
しかしそのせいで、林さんは私の存在に気が付いたようでこっちに向かってくる。
「あぁ、飛鳥さん。久しぶりだね。会いたかったよ」
私を見つめて醜悪な笑みを浮かべている。私は後ずさりながらガーデンテーブルの後ろにまわり込んだ。
「こないで。契約はすでに破棄されていて、あなたはうちとはもう関係ないはずです」
「ひどいなぁ。俺たちの式をここでしようと思っていたのに」
「俺たちの……式?」
こんなに拒否しているのに、どうして式なんて話になるの?
こちらの話など一切聞いていないのだ。
「そうだよ、それなのに君は別の男と一緒に暮して……がっかりだよ」
大輝さんのことを言っているのだ。この人はどこまで――。
「でも、やっと目が覚めたみたいだね。同棲やめて部屋に戻ったのを知っているよ」
「……ひっ」
彼の部屋を出たのはつい最近のことなのに、林さんがそれを把握していることに恐怖を覚える。
「ねぇ、今度は俺と一緒に暮そう」
恐怖で声が出ない。私は必死いなって首を左右に振って無理だと伝える。
「なんでだよ。君は僕の運命だろ。そうだよねっ!!!」
「きゃあああああ」
林さんは大声で叫ぶと同時に、走ってこちらに向かってきながら持っていたトートバッグに手をいた。
そして光る何かを取り出した。太陽の光を受けて光るそれが何か判断するのが一瞬遅れた。
手にしているのは果物ナイフ。それを私にめがけて振り下ろした。
「未央奈!!」
大輝さんが私を呼ぶ声が聞こえた。次の瞬間、大きな背中で私の視界が覆われる。
「大輝さん?」
名前を呼ぶと、彼が振り向いた。でも彼の表情はいつもとは違って、苦悶に歪んでいる。
「だ、大丈夫……か」