【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 そのたびにアトロとの約束を思い出し、己を御していたのだ。
(だが、オリビアは十八になった。これで彼女は、自分の意志で好きな男と結婚することができる……)
 十八歳になれば、親の同意なしに結婚ができる。
 クラークとオリビアの結婚は、彼女の保護者であるアトロの同意が必要だった。だが、その制限がなくなったのであれば、彼女には本当に好きな人と家庭を築いてもらいたい。
 その結果、彼女を失う羽目になったとしても、好きな人の幸せは願いたいのだ。
 何しろ、クラークは彼女を守る騎士である。
 それでも最後くらいはクラークも願いを叶えたいし、思い出が欲しい。
「少し、長い休みをもらうことができたんだ。君の誕生日を祝ってやれなかったし、誕生日の償いというわけでもないのだが、君さえよければ、どこか出かけないか?」
 食事の席で、そう彼女に提案した。
 彼女から返ってきた言葉は「考えておきます」だった。
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