【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
 クラークは、部屋の明かりを消した。ベッドのそばにある、背の高い間接照明がぼんやりと光っている。
 そして彼は、わざわざベッドをぐるりと回って、オリビアがいる反対側からその上にあがった。
 すぐさまベッドの上で毛布をかぶり、仰向けになっていた。
(え? これは何? この状態のクラークを好きにしていいってこと? 教えて、カトリーナ様。この場合、どうするのが正解なのですか?)
 心の師匠であるカトリーナに問いかけても、もちろん答えなど返ってくるわけはない。
 だからといって、この状態のクラークにオリビアの方から襲い掛かるのはいかがなものかと思う。遅い掛かったとしても、間違いなく反撃されるだろう。
 オリビアは仕方なく照明を暗くして、ベッドへと潜り込んだ。
(クラークは、眠ってしまったのかしら……)
 ゆっくりと頭の向きを変えて隣を見てみるが、大きな影が見えるだけで、彼がどのような状態なのかさっぱりわからない。
 ただ、その影が規則正しく上下しているようには見えた。
(きっと、戻ってきたばかりだから、疲れているのよね)
 オリビアは頭の位置を元に戻して、静かに目を閉じる。
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