【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
(やばい、駄目だ。可愛い。天使だ)
 寝るために、オリビアは腰までの髪をおろしているし、今の彼女はナイトドレスを着ている。
 その無防備な姿が、クラークの気持ちを刺激する。だから、すぐに視線を逸らす。
(彼女は、俺の気持ちになんて気づいていないんだろうな。天使というよりは、小悪魔的な存在だ)
 これ以上、彼女の隣に座っていると、身の危険――特に下半身の危険を感じた。
 先ほども風呂上りの彼女の結い上げた髪がパサリと落ちた時、言葉で言い表すことのできない色気によって、身の危険を感じてしまった。
 だからクラークは立ち上がる。
(駄目だ。これ以上、彼女の側にいるといろいろと危険だ。今日はもう寝よう)
 その気持ちを言葉に乗せる。
「今日はもう遅い。俺のこともいろいろと気遣ってくれて、疲れただろう? 俺も、今日はもう休むから」
 クラークは部屋の中心にある照明を消して、彼女がいる方とは反対側からベッドへとあがった。そして、毛布をかぶる。
(よし、寝よう。寝てしまえば余計なことを考えなくてすむ。寝る、寝るんだ、俺)
 間接照明だけが照らす、ほんのりと温かな部屋で、クラークはベッドに仰向けになった。
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