【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
7.幼妻の場合(5)
◇◇◇◇

 クラークは「休みが取れた」と言っていたが、それでも二日に一回の割合で王宮内にある執務室へと足を運んでいた。団長となれば、王宮内に専用の部屋を構えているのだ。
 だからまだ、彼との約束は果たせていない。二人で映画を見に行くという約束だ。
 クラークが戻ってきてから五日後。オリビアはカステル侯爵邸を訪れていた。侯爵夫人であるポリーからお茶飲みに誘われていたのだ。
 クラークも王宮へと行ってしまったし、オリビアは今までの報告と今後の相談をポリーにしようと思っていた。
「よかったですわね。クラーク様が戻られて」
「ええ、安心しました」
「久しぶりに再会してどうなのですか? 熱い夜を過ごされたのでしょうか?」
 庭園にあるガゼボでお茶を嗜む二人。だから茶会というほどのものでもない。ただの茶飲みである。
「カトリーナ様からも、いろいろと教えていただいたのですが。クラーク様には全然効果がありませんでした」
 しゅん、とオリビアは肩を落とす。
 あら、まぁ。と口元を手で押さえながら、ポリーはオリビアを見つめていた。
「なかなか手強い敵ですわね。カトリーナ様ご推薦であれば、私の夫であればいつもコロリと騙されてしまいますのに」
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