【受賞】幼妻は生真面目夫から愛されたい!
「ええ、もちろん」
 カップをソーサの上に戻したポリーは、言葉を続ける。
「私とジャンで『禁じられた遊戯』をすすめることにしましたわ。この映画を二人で見れば、その夜はとても濃厚な一夜になることでしょう」
 映画の内容を思い出したのか、それとも濃厚な一夜を思い出したのか、ポリーは「きゃっ」と頬を赤らめて、そこに手を当てていた。
(『禁じられた遊戯』……。一体、どのようなお話なのかしら……)
「クラーク様は、基本的には一か月ほどお休みでしょう? だから、私の方でチケットを買っておきましたから、ジャンからクラーク様に渡してもらおうと思っておりますの。是非とも二人で見ていただきたいわ。『禁じられた遊戯』は最高傑作よ」
「どのようなお話なのでしょうか?」
「あら、聞きたい? 聞きたいのね? ネタバレ無しで、ざっくりと内容を教えるわね。あ、そうそう。他にも『許されぬ二人』も素敵なお話だったわ。あぁ、どちらがいいかしら」
 そこからポリーの映画談義となった。
 ポリーはかなりの種類の映画を見ているようだった。ジャンが休みになると、二人でよく出かけるらしい。
 オリビアはその話すら羨ましいと思っていた。
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